壮絶な幼児虐待体験…
でも、どんな状況からでもなりたい自分に

尾田千加子

虐待を受けた少女時代

私は母親から虐待を受けて育ちました。常に身体にアザやすり傷があり、言葉では常に馬鹿にされ、時には首を絞められたりすることもありました。

それは普通の家庭とは程遠い、壮絶な環境でした。そんな環境で育った私は人を信じることができず、人は必ず自分を支配するために攻撃してくると思っていました。だから人とうまくやっていくのに絶対必要な、親切にすること、優しくすることがわからず、人間関係ではいつも悩んでいました。

また小学生の頃から、とがったものが怖くなる先端恐怖症もありました。鉛筆や葉っぱ、本のページの角でさえ怖くて、教科書を開くことができなかったこともありました。

今までの人生から抜け出したかった

そんな私が社会人になった時、自分だけが人間関係がうまくいかない事にさらに苦しみました。自分も、人とうまくやっていきたい。ずっと１人孤独に過ごしていくのは嫌だ。虐待を受け、殴られて終わる人生は嫌だ。

そんな気持ちでいっぱいでした。そしてニュースを見れば、毎日のように虐待やいじめで殺されてしまう子どもたち、そして逆に親を殺してしまう子どもたちの悲惨な現状が目に入ります。その子どもたちの姿が、自分の姿と重なりました。

私はたまたま、殺されなかっただけ。そして誰も殺さなかっただけ。運良く生き残ることができた…。そう思ったときに、自分の虐待の経験を活かして同じ苦しい思いをしている人たちに、何か役に立つことはできないか？その思いこそが、カウンセリングと出会ったきっかけでした。

人を信じる事を知った、アイディアでの学び

勉強を始めて何よりも感じたことは、心を学ぶって、あたたかいという事。私を苦しめていたものから、一つ一つ自由になっていく感じがしました。特にアイディアには、虐待を受けた経験があったり、うつで休職されている方など、様々な悩みを抱えた方が一緒に勉強しています。悩んだからこそ、誰かの役に立ちたいと思う同じ志を持った方がたくさんいました。

だから、勉強する教室の雰囲気はとてもあたたかく、一人一人の存在を受け入れてくれる心理カウンセラーのスタッフの方々に、毎回癒されながら一歩ずつ前に進む事ができました。そして現場研修では、基礎講座で勉強して気付いた自分のコミュニケーションのとり方や心の癖を、こんどは実際に自分の行動として変えていくという、私にとって人生を変える大作業と取っ組み合いました。

その時何よりも心強かったのは、研修で私を指導してくれた心理カウンセラーでした。私の為を思って言ってくれている事を受け取れず、けんか腰でつっかかる私に対して、一度も見捨てないで、本気で私をカウンセラーとして育てようと全力で接してくれた。こんなどうしようもない私にも、本気で向き合ってくれる人がこの世の中にいるんだ……。生まれて初めて人を信じることを実感できたのも、その心理カウンセラーのお陰でした。

さらに驚くことに、なんと今まで私を苦しめてきた先端恐怖症が治ったのです。心のことを学び始めて、やっと私の人生にも光が射し始めました。

闇の中から抜け出して、いま苦しんでいる方の力になりたい！

私は今心理カウンセラーとして、また企業で働く人にメンタルヘルスやモチベーションアップの方法をお伝えする、企業研修講師として活動しています。その中で私の原点となっている『虐待ストップ』についても、様々な場面でお話しすることで、1ミリでも社会が動くようにとの思いで頑張っています。

今自分が感じることは、例えどんなことがあっても、いくつからでも、なりたい自分になれるということ。ずっと居場所もなく、一人全く光のない闇の中でうずくまっていた私は今、自分の経験を活かして同じ苦しみを持つ方のサポートする事を、ライフワークとしてくという居場所が見つかりました。

虐待やストレス、様々なことがあったとしても、絶対にあきらめないで欲しい。自分の人生は自分のものとして生き、なりたい自分になることができるのです。あの時、アイディアで勉強することを選んでよかった。自分の人生を、自分の手で変えることができたのですから。

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